誰もが認める職人と言えば、菊池涼介だ。守る範囲は広大。また強肩によって幾多の併殺を完成させる。その二塁守備は「忍者」とも形容される。1球ごとに位置取りを変えながら、安打と思われた打球を平然とさばく。
天才的なポジショニングについて「もう何年も前から、指示されたことはない。自分なりに考えながらやっている」と明かした。まさに全幅の信頼を寄せられている。
首脳陣は高い守備力の源について「野生の勘」と口をそろえた。緒方孝市監督は賛辞の嵐だ。
「あの守備力は本当に大きい。どれだけチームを救ってくれているか。経験と能力。野性的な勘だろうな。感性が素晴らしい」
玉木朋孝内野守備・走塁コーチも「野生とも言えるような勘がすごい。打てなくても、守備だけでヒット3本くらいの価値がある」と感嘆する。
今季も華麗な守備でファンを沸かせている。4月28日の阪神戦(マツダ広島)では8回、伊藤隼太のフライを猛追。中堅の定位置少し前でボールをつかみ取り、失点を阻止した。5月21日現在、全試合スタメン出場して無失策。正確性も際立っている。
昨オフにはこんな目標を掲げた。「全試合フィールドに立って仕事をまっとうしたい。失策ゼロは究極の目標」
守りからリズムをつかみ、5月に入って打撃も上向き。緒方監督の基本方針である「守り勝つ野球」を、先頭に立って体現する存在だ。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)