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カープ史上最も愛された助っ人、エルドレッドの引退に誠也も松山も涙

2020年5月18日

カープ史上最も愛された助っ人、エルドレッドの引退に誠也も松山も涙

日本プロ野球「我が心の最良助っ人」第1回 ブラッド・エルドレッド(広島)

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、プロ野球はいまだ開幕が見えない。緊急事態宣言が発令されていた間、広島では4班制が敷かれ、完全分離での調整を続けていた。そんななか、今シーズンから広島でプレーする新外国人の3選手(テイラー・スコット、DJ・ジョンソン、ホセ・ピレラ)も、与えられたメニューに加え、個別メニューにも精力的に取り組んでいた。

広島に加入する外国人選手は日本野球に馴染もうとする選手が多い。なかでも特別な存在になった外国人選手といえば、2018年までプレーしたブラッド・エルドレッドだろう。

現役引退を決めた2019年には、外国人選手では異例の引退セレモニーが行なわれた。在籍期間は、広島の外国人選手では最長となる7年。通算成績は577試合、496安打、打率.259、133本塁打、370打点。だが、エルドレッドが特別な存在となったのは、在籍した年数でも、残した成績でもなく、彼の人間性だった。

米国では、ピッツバーグ・パイレーツでメジャーデビューした2005年に55試合の出場で12本塁打を叩き出すなど、大砲としての片鱗を見せたが、翌年は新戦力の加入と自身のケガもあり、出場機会は激減。その後、チームを転々としたエルドレッドが新たな活躍の場として選んだのが日本だった。

「初めて日本に来た時は、チャンスだと思ったし、長くプレーしたいと思っていた。だけど、日本で長くプレーすることは難しいと知っていた。いろんな国から選手が来るが、長くプレーできた選手は少ない。1年1年が勝負だと思って取り組んできた」

そう語っていたエルドレッドは、野村謙二郎監督(当時)ら首脳陣の指導に耳を傾け、広島伝統の”次の塁を狙う走塁”にも積極的にチャレンジした。

追い込まれてから外角や低めのボール球となる変化球に手を出し、打ち取られる姿を何度も見てきた。ケガや外国人枠の問題だけでなく、調子の波の大きさから何度も二軍降格を味わった。

それでも広島打線のなかでエルドレッドの”長打”は貴重な飛び道具であり、ひと振りで流れを変えられる存在だった。

「いつも自分に言い聞かせていたのは『なぜ日本のこの球団に必要とされてきたか』ということ。自分はホームランバッターで、高いアベレージを期待されているわけじゃない。何を期待されているのかといえば、ホームランを打つことであり、打点を挙げること。

数試合ヒットが出ずスランプに陥った時でも、我慢してやっていればいつかホームランは出るし、打点も挙げられる。それを積み重ねることで、対処できるようになってくる。とにかく自分に求められることは何かを考えながらプレーすることで、長くできると思っている」

来日1年目は7月からの出場ながら、チーム2位の11本塁打を記録。4番で開幕を迎えた2年目の2013年は右手首骨折もあり不振に陥ったが、9月25日の中日戦では球団初のクライマックス・シリーズ出場を決める決勝2ランを放つなど、強烈なインパクトを残した。2014年はシーズン169個の三振を喫したが、37本塁打を放ちタイトルを獲得。

成績もさることながら、チームに溶け込もうとする姿勢がチームメイトの信頼につながった。球団通訳も認める真面目な姿勢で日本語を勉強し、日本の文化にも積極的に触れた。遠征先にひとりで外出してもリフレッシュできるようになった。外野手同士の指示も日本語でやりとりし、年上の新井貴浩を「先輩」「新井さん」と呼び、日本の若手選手からは「先輩」と呼ばれた。

また、広島の街を”ママチャリ”で疾走する姿は、ファンにとって馴染みの光景となり、街を歩けば人だかりができた。豪快さと脆さを併せ持つ、広島を愛する196センチ、126キロの大砲にファンは惹かれていった。エルドレッド自身も、新井がチームを表現した”家族”の一員なんだと自覚していた。

リーグ3連覇を達成した2018年には、こんなことを言っていた。

「広島には新井、石原(慶幸)というすばらしいベテランがいる。彼らはチームのために何ができるかを考え、取り組んでいる。コーチから言われるよりも現役選手が体現してみせる影響は大きい。彼らに負けないように、自分もそういった姿を見せていきたい」

引退セレモニーでも「私のチームメイトである兄弟たちへ」とメッセージを送った。2017年に甲子園球場でエルドレッドにおんぶされた鈴木誠也も、昨年から背番号55を受け継いだ松山竜平も、涙を流し感謝した。

コロナ禍が終息すれば、広島の駐米スカウトとして第二の人生をスタートさせる。愛し、愛された第二の故郷のために、エルドレッドは”第二のエルドレッド”を探す役割を担っている。(前原淳)

(※引用元 web Sportiva

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