最後まであきらめない。プロ7年目の田中広輔は今年、シーズン前半戦は苦しいシーズンを送っていた。8月末時点で打率も2割を切る寸前まで落ち込んだ。かつてリードオフマンとして、リーグ3連覇に貢献した姿はなく、今季は主に「八番」の下位打線に座る。チームも下位に低迷。個人としても苦しみ、もがきながら、打開策を模索し続けた。
9月に入り、状態は上向き傾向にある。9月29日時点で月間打率は.304と奮闘。通算打率も同時点で.235にまで上昇してきた。今季2度目の「二番」で出場した9月21日の巨人戦(東京ドーム)では初回に先制の5号2ランを放つなど、この日まで3試合連続マルチ安打を記録。翌22日同戦では、昨年7月2日以来の「一番」の“定位置”に入り、久びさに「タナキク」が並んだ。好調の要因について「とにかく前で力強く振る意識で、練習から打席に入っています」と明かした。
昨年の今ごろは懸命にリハビリを行っていた。右ヒザ痛の影響もあり、19年は打撃3部門いずれも自己ワーストで、プロ入り後6年間で、97試合出場も自己最少だった。8月28日には「右ヒザ半月板部分切除手術」を敢行。今年2月の春季キャンプから完全復活を遂げ、「一番・遊撃」ではなかったものの、開幕スタメンとして一軍の舞台に戻ってきた。
チームは依然下位から抜け出せない戦いが続いている。選手会長としても、責任を感じている。「今の位置にいる現実は受け止めて、最後まであきらめずに。ファンの方も多く入るようになった。1試合1試合いいパフォーマンスをみせていきたい。若い子にはいい経験になっていると思う」と前を向く。最後まで全力で突っ走る覚悟だ。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)